◆ 狂牛病(BSE)とは?
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牛の体内で異変を起こして増殖するタンパク質「異常プリオン」。
これが狂牛病の病原体とされる。羊だと「スクレーピー」、人に感染して起きると「新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病」だ。
今回日本で狂牛病の牛が発見されて以来、「感染した牛を食べると、みんな感染するのではないか」と多くの人たちが恐れを抱いた。
しかし金子さんは「感染した牛を食べると、人間が全員感染するなんてとんでもない話。そんなことはありえない」と一蹴する。
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◆ 「種の壁」効果
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百頭の牛が、感染牛の脳を食べて感染する率は一頭から三頭。人間ならその百分の一以下の確立になる。牛から牛と、牛から人間では、明らかに感染率が異なる。これは生物の「種の壁」効果がもたらすものである。
人、牛、豚など生物は種ごとに固有のプリオンタンパクを持っており、種の壁を越え、牛から人へ病気がうつる可能性は少ないとされている。狂牛病でも種の壁という安全弁が働くため、牛から人への感染率は相当低くなるというわけだ。
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◆ 狂牛病(BSE)に感染する確立
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今後は全頭検査で牛はシロとクロに分けられるがはたして何頭の牛がクロと認定されるのか?
ドイツでは、英国から狂牛病の原因とされる肉骨粉を輸入して与えたところ約百頭の牛が狂牛病にかかった。この状況を参考にしつつ「日本では多くて百頭ぐらいのクロの牛が見つかるかもしれない」と予測される。
百頭段階で狂牛病に感染する確立については、
@種の壁の効果による感染率
A感染牛に遭遇する確率
などを基に計算すると、「全国で年間に一人出るか出ないかという極めて低い数字になる」と推測される。それでも不安なら「安全とされる食肉や牛乳の摂取をお勧めする」
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◆ 最後に 国立神経研究所の金子清俊部長の談
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消費者には「過剰な反応に傾くことなく、もっと安心してもらっていい」と金子さん。
しかし、食の安全にかかわる国や行政には手厳しい注文を突きつける。
「クロが出たら牛はすべて焼却し、電動カッターなどの器具も処分する。狂牛病を根絶して、絶対クロの牛を食肉のサイクルの中に混入させないこと。」さらに「感染患者が一人出たら『敗北』というぐらい強い危機感を持ってことに当たるべきだ」としている。
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静岡新聞 10月23日夕刊より |